シロアリ被害の基礎知識
Termite Damage
シロアリは、アリという名称から勘違いされがちですが、実は分類としてはアリではなくゴキブリに近縁の昆虫です。
見た目がアリに似ているためシロアリと呼ばれているだけなんです。ちなみにアリはハチの仲間です。
住宅を蝕む害虫としてのイメージが強いシロアリですが、元々は土の中に住む虫で、森の中の落葉や枯れ木などセルロースを分解する生物学的には不可欠な存在。土壌改良においても重要な役割を担っています。
シロアリは世界で約2,000種類もいますが、日本に生息しているのは22種類。そのうち住宅に害を及ぼすのは5種類ほどと言われています。
シロアリの主食は木材で、木に含まれる「セルロース」を分解して栄養を得ています。
シロアリ被害では畳や紙も侵食される事がありますが、これは畳や紙にセルロースが含まれるためです。
当然、もっとも多くセルロースが含まれる木材が被害にあいやすいのですが、実は木材以外でも、プラスチックや合成ゴム製の建材、発泡スチロールや発砲ウレタン系の断熱材も食害に合う事があります
この理由ですが、シロアリは地中から「蟻道」と呼ばれるトンネルを作って建物へ侵入してくるため、その蟻道を作る過程で食害にあうという事。
さらに恐ろしいのは、発泡スチロールや発砲ウレタン系の断熱材の内部は、柔らかい上に高温多湿でシロアリが好む環境のため、中に巣を作って生息しているケースが多いという事です。
床下の被害以外では、台所・トイレ・玄関・雨漏り箇所など湿度が高くなりがちなスペースに注意してください。
室内までの侵入が確認された状態で、放置すると、テーブルやタンス、ピアノ、本・書類など大切な家財を食い荒らされてしまいます。
シロアリの被害を深刻化させないためには、早期発見・駆除、予防が重要となります。
シロアリは休眠することなく一年中活動していますが、気温:20〜26°C/湿度:60%程度がシロアリが最も好む条件のため、梅雨の時期から夏場に活動が活発になる事が多いです。
残念ながら、高温多湿な沖縄はシロアリの活動が活発な時期が長いです。
また、最近の住宅は、密閉構造による通風しも悪く、冬でも暖房が行きわたる等、湿度が高くなりがちなので、季節を問わずシロアリの活動条件が揃っています。
シロアリの被害に遭いやすく、被害が深刻化しやすいのは木造住宅なのですが、鉄骨造、RCもシロアリの被害を受けることがあります。
まず、鉄骨造やRCであってもコンクリート内部に木材があればシロアリの食害に遭う可能性があります。
コンクリートを食べ進めて中まで侵入するというのは恐ろしいですね。蟻道を作る中で、柔らかい鉛などの金属にも穴をあけてしまう事例もあり、コンクリート住宅だから侵入されないというのは間違った考えのようです。
もうひとつはシロアリが好み、繁殖の温床となる発泡スチロール・グラスウール系の断熱材が鉄骨造、RCにも多く使用されています。
一度、シロアリの巣が作られてしまうと、数万〜数百万匹ほどのシロアリが生息する状態になってしまうため、コンクリート住宅といえど、気づかないうちに被害が拡がってしまう可能性があります。
シロアリの被害に遭いやすいのはマツ類(ベイツガ、トドマツ、アカマツ)、モミ、ホワイトウッドなど、比較的柔らかい木材。シロアリにとって食べやすくセルロースを分解しやすい木材です。
反対に被害に遭いにくいのは堅く食べ進めにくい木材で、中でもシロアリが「ヒノキチオール」という成分が含まれているヒバ、コウヤマキ、ローズウッドが最もシロアリ対策に有効な木材と言われています。
そのほか、高級建材として知られるヒノキ、ケヤキ等の木材も木目が堅く、シロアリの被害に遭いにくいです。
まず、冒頭にも書いたようにシロアリとアリは食性も生態も異なるまったく別の虫です。
そのため、アリ用の毒餌剤を置いてもシロアリ駆除には効果が無いという事を知っておいて下さい
見た目が似ているからシロアリと呼ばれているわけですが、シロアリの触角はよく見ると数珠のように球体が連なっていて、体の形が寸胴です。
一方で、クロアリは、くの字状で胸部と腹部の間がくびれています。
日本で家に被害をもたらすシロアリは5種類ほどと言われますが、沖縄で被害がある3種類のシロアリについて記載します。
ヤマトシロアリ
北海道北部を除く日本全土に分布。
塊状の巣は作らず、適当な生活場所と餌を求めて移動する習性があります。乾燥に弱いので、湿った木材や土中で生活しています。建物では腐朽した建物で発生しやすく、基礎・床下を食害します。
イエシロアリ
神奈川県以西の海岸線に沿った温暖な地域と南西諸島、小笠原諸島に分布。
建物や地中に塊上の大きな巣を作り、数十万匹、大きいものでは百万匹にも達する。
加害速度も早く、被害も大きくなります。乾燥した木材でも水を運んできて湿らしながら加害するので、被害は建物全体におよぶ。
アメリカカンザイシロアリ
水を必要とせず、乾燥した木材の中でも活動し食べ進める事ができるため、基礎、床下、柱だけでなく、ピアノ、タンス、鏡台、机などの家具を食害します。
ダイコクシロアリ
奄美大島以南に分布しており、沖縄県ではかなりの被害があります。 被害状況や加害習性はアメリカカンザイシロアリによく似ています。
ここまで読んで頂ければ、シロアリ被害は時間が経てば立つほど深刻になるという事がわかると思います。
とにかく早期発見が重要なのですが、地中からコンクリートを破って基礎や床下から食害が進み、断熱材の中に巣を作られる等、気づかないうちに被害が進んでいくことが多いので、なかなか早期発見が難しいというのが現実です。
床下を定期点検し蟻道を探すというのは、なかなか出来ることではないため
- 床を踏んでギシギシ音がする
- 畳を強く踏むとブヨブヨする
- 水回り等の湿気の多い箇所で木片が崩れ落ちている
- 窓や扉がガタガタする
- 家の中で羽アリの羽を見かけた
- 家の中で羽アリ or シロアリを直接見かけた
など、異変に気づいたら早めに対処する事をオススメします。